正式名称は中華人民共和国マカオ特別行政区。 マカオは香港の西南西60kmの中国大陸の南東、南シナ海に注ぐ珠江の河口に当たる部分に位置しています。中国広東省と陸続きの半島部と、その南のタイパ島、コロアン島、および埋め立て地域のコタイから成り、面積は28.6km2、東京品川区より少し広めの面積です。この極めて狭い区域の中に複雑な文化のせめぎあいもマカオの奥深い魅力です。 約450年前に上陸したポルトガル人の150年間に渡る統治を経て、中国に返還されたのは1999年12月20日とごく最近のことです。中国返還後も司法・立法・行政の自治権はマカオにあり、一国二制度体制がとられています。 気候は温暖でやや暑い感じ。年間の平均気温は20度以上で、年間降水量1700ミリ(日本と同じくらい)が示すように雨が多く高温多湿の気候です。 人口約53万人、その94%は中国人です。宗教的には仏教、キリスト教などが主で、中国語(広東語)とポルトガル語が公用語となっています。実際には日常会話の大半は広東語が用いられていますが、商業地域では英語が通じる所もあります。困ったときは漢字で筆談するとグッドです。 福岡からマカオへ入国する場合はキャセイパシフィック航空かチャイナエアラインで香港に渡り、香港から高速フェリーを利用してマカオに入る方法が一般的でしたが、最近は福岡からマカオへのチャーター便も飛ぶようになり、ずいぶんと身近に感じられるようになりました。ちなみに時差は日本より1時間遅れとなります。また、日本人は90日以内の滞在であればビザは不要です。旅券の残存期間は滞在日数+30日以上が必要。 マカオでの通貨単位はパタカで、1パタカは100アボス(約15円)。パタカと香港ドルはほぼ等価で、しかも香港ドルはマカオで両替の必要がなく通用するので便利です。 マカオでは水道水を塩素で消毒しているため飲料水はミネラルウォーターを飲む方がよいでしょう。レストランやホテルでは蒸留水を使用しています。ちなみにチップの習慣はあまり浸透していないのですが、ホテルでボーイに用事を頼んだ時は5パタカ程度、飲食店では料金の10%程度を用意してあげると親切です。
前述の通り150年間のポルトガル統治下にあったため、南欧の雰囲気を漂わせる旧市街と、清時代の建築様式を残す繁華街などが狭いエリアの中に共存しています。ふらりと散策するだけでも十分エキゾチカを満喫できるでしょう。しかもマカオは、コンパクトな地形にもかかわらず、ユネスコの世界文化遺産を擁しており、見所は実に満載です。またマカオと聞いてみなさんの脳裏に浮かぶのは『カジノ』という言葉ではないでしょうか?中国返還後のマカオはラスベガスの資本が流入し、次々と高級ホテルが開業中。べガスのビジネスパターンである、「カジノ」+「高級ホテル」+「エンターテインメント」という方程式が進行中です。 その歴史的背景から香港と比較されやすいマカオですが、一歩足を踏み入れれば、香港よりはずいぶんと落ち着いた印象を受けることでしょう。この2つの特別行政区は、似て非なる観光地として発展中であり、それぞれに独自のアドバンスを確立中なのです。
中国南端のアジアに位置しながらも長らくキリスト教の影響が支配的だったために、今日のマカオでは数多くのキリスト教関連のモニュメントを見ることができます。 1835年の大火により建物正面部分以外の大半を焼失した聖ポール天主堂跡(1)は17世紀初頭にイタリア人修道士によって設計されました。市街を見下ろすこの朽ちた建造物は現在のマカオのシンボル的存在としてあまりに著名です。他にも、中国・韓国・日本へのキリスト教布教の拠点として生まれた大堂(2)や聖ヨセフ修道院及び聖堂(3)をはじめ、ポルトガル軍大尉の名を冠した聖アントニオ教会(4)や、聖オーガスティン教会(5)、聖ドミニコ教会(6)、聖ローレンス教会(7)など由緒あるキリスト系教会が目白押しです。教会以外でも、キリスト教の慈善事業組織が運営した仁慈堂(8)や、プロテスタント墓地(9)、ギア要塞と灯台(10)、 17世紀にオランダ艦隊を退けたモンテの砦(11)、後述のナーチャ廟横にある旧城壁(12)なども当時のクリスチャンたちの活動を記録するものです。 一方で仏教系遺産に関してはマカオ最古の寺院である媽閣廟(13)と、西遊記にも登場する中国神話の神童を祀るナーチャ廟(14)の2点のみ。
(1)聖ポール天主堂跡
(2)大堂
(3)聖ヨセフ修道院及び聖堂
(4)聖アントニオ教会
(5)聖オーガスティン教会
(6)聖ドミニコ教会
(7)聖ローレンス教会
(8)仁慈堂
(9)プロテスタント墓地
(10)ギア要塞と灯台
(11)モンテの砦
(12)ナーチャ廟横にある旧城壁
(13)媽閣廟
(14)ナーチャ廟
文化・風俗に想いを馳せるものとしては先ずドン・ペドロ5世劇場(15)とロバート・ホー・トン図書館(16)。 ドン・ペドロ5世劇場は東洋初となる男性専用社交クラブ。現在はオペラ劇場として知られています(通常は入場できません)。庭で読書が楽しめるロバート・ホー・トン図書館も元々は富豪ロバート・ホー・トンのマカオにおける別荘であったものです。同様に個人宅に端を発するものとしては銀行家富豪の盧家屋敷(17)と孫文の政治活動にも影響を与えたと言われる思想家鄭觀應の鄭家屋敷(18)があります。 また民政総署(19)と港務局(20)という2つの公共施設のヨーロピアンぶりは、当時のマカオがポルトガル統治下にあったことを如実に体現し興味深いものです。そして中国様式の三街会(21)、イギリス東インド会社の船荷監督委員会本部だったカーサ庭園(22)にも時代の変遷を感じることができます。
(15)ドン・ペドロ5世劇場
(16)ロバート・ホー・トン図書館
(17)盧家屋敷
(18)鄭家屋敷
(19)民政総署
(20)港務局
(21)三街会館
(22)カーサ庭園
すでに見所満載のマカオですが、上記22の遺跡に加えて8つの広場も世界遺産の認定を受けています。 マカオの中心地セナド広場(23)はポルトガル統治時代のマカオ市政庁の正面に位置しています。中心にはアーミラリ天球儀を型どった噴水が配され、この広場を取り囲む建物は典型的なヨーロッパの建築様式を保っておりムード満点。 海を埋め立て作られたバラ広場(24)、ポルトガルの国民的詩人の名にちなんだカモンエス広場(25)、聖ポール天主堂跡の階下にあるイエズス会記念広場(26)、にぎやかなセナド広場の一本裏通りにある石畳の大堂(カテドラル)広場(27)、セナド広場の近くにある聖ドミニコ広場(28)、セナド広場と同様のモザイク模様のタイルが美しい聖オーガスティン広場(29)などなど、それぞれに魅力満点です。 ちなみにリラウ広場(30)には「リラウの井戸水を飲むと、マカオを去ることができない」という民間伝承があります。
(23)セナド広場
(24)バラ広場
(25)カモンエス広場
(26)イエズス会記念広場
(27)大堂(カテドラル)広場
(28)聖ドミニコ広場
(29)聖オーガスティン広場
1972年の第17回ユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき、世界遺産リストに登録された世界的に高度の普遍的価値を有するモニュメントや自然などのこと。2007年では文化遺産660、自然遺産166、複合遺産25の計851件が登録済み。日本の世界遺産としては石見銀山(島根)や白川郷(岐阜)が有名。
(30)リラウ広場
ここ日本においても以前は「香港・マカオ」と表されることが多かったように、香港のついでにマカオに立ち寄るというイメージが支配的だったのも事実です。しかしポルトガルから中国への返還後は、日本人のアジア志向に、世界遺産ブームや直行便の整備など、種々の要因が追い風となり、マカオへの渡航者の数は右肩上がり。2004年度の渡航者数12万2184人に対し、2007年度は29万9406人と、実に2倍強の急増ぶりです。こうしたマカオ株急上昇の背景には、クオリティーの高いホテルの建設が続き、「口うるさい」日本人滞在者のニーズに応えてきた実績があります。昨年12月にホテルオークラのマカオ進出が発表されたことも記憶に新しいところですが、これは正式にはマカオ国内で複数のホテルを経営するギャラクシー・エンタテインメント・グループ(香港)との提携によるもの。同グループが所有する3つのホテルのうちのひとつの運営をホテルオークラに委託し、2009年9月の開業に向けて現在開発中です。観光都市として香港に追いつき追い越せのマカオのホテル事情は、ラスベガスの売上額をも凌駕するといわれるカジノ戦略の後押しもあり、今後も発展の一途にあります。そんな中から特に日本人観光客に人気のホテルを5つご紹介します。
世界遺産でもあるセナド広場から徒歩3分、シントラは街の中心という好立地が自慢。 単にビジネスホテルといい切れない上品な趣があり、目の肥えた観光客も満足させてくれます。 ツアーなどでは低価格コースを任されるポジションですが、サービスにおいても施設においても満足度十分。
ビジネスホテル、にしてはクォリティーが高い。 とにかくどこへ行くにも好立地で便利。
マカオがまだポルトガル統治下にあった1984年に開業した老舗ホテル。一大リニューアルによって、高級シティホテル&スパとして女性客の心を鷲掴みにしています。 老舗ならではの基本サービスのきめ細かさも相まってリピーター率も高いとのこと。サーモンピンクの客室もグッド。
ホテルの隣にオープンしたサンズ・カジノ(金沙娯楽場)で楽しむ宿泊客多しとのこと。
独特の鳥かご型デザインが異国情緒を最高に刺激するリスボア。開業から約40年を数える老舗ですが、内観はリニューアルの恩恵を受けており、利用者の期待をいい意味で裏切ってくれます。 カジノホテルの先駆ですが、新館グランド・リスボアを準備し幅広いニーズに対応します。
これまた異国情緒満点のデザインが旅心をくすぐる。男っぽい外装だが内装は意外とカワイイ。
ヴェネチアの街を模した運河付きの広大な敷地が圧巻です。15000人を収容するアリーナでは大物アーティストのステージやプロスポーツも観戦可能。3000を超える客室のすべてがスイートというのも魅力的で、このホテルの桁外れのスケールを証明しています。アジア最大の看板はだてじゃない!
最も予約が取りにくいと噂されるスーパーホテル。王様気分に浸るならコレ。
ラスベガスから進出してきたウィン・マカオは米国流の高級感が魅力です。600の客室すべてが全面ガラス張りでムードは最高。 2006年にオープンした新しいホテルですが、そこはベガス仕込みの心憎い演出がつぼを押さえまくりで、「積極的にカジノ事業に参画する」と頼もしい。
ずばりギャンブラー気分を味わいたい殿方にはこちらをおすすめ。アメリカ仕込みの正統派。
世界中に足を運ぶことが不可能ではない今日、また足を運ばずとも情報が入手できる今日、海外旅行に対するユーザーの好奇心はよりどん欲に増殖していきます。あれもこれもと欲張りな要求は多様化しディープにならざるを得ません。 その意味では、どちらかといえば『商品』としては新しい観光地の香港やマカオなどアジア各国の需要がコンスタントに増加傾向にあることは、非常に健全であり合理的です。特にマカオに関しては前述の通り(口うるさい)日本人渡航者数を例年更新していますが、これはマカオに内在する多様性や柔軟性の帰結と考えてよいでしょう。 これまで見たようにマカオには西洋文化の影響と東洋文化の反発が混合しながら、独自の変遷を醸し出しています。さらに現在はその複雑な基盤の上に各地からの資本の流入という事態が生じて観光地としての魅力に拍車をかけています。その結果として、比較的お手軽な価格で、価格以上の満足感を味わえる点も見逃せません。近年のマカオが日本人渡航者数を更新し続ける理由は容易にうなずけます。 もはやマカオはカジノの観光地、世界遺産の観光地、だけではありません。一粒で二度も三度もおいしい観光地なのです。この機会にマカオという国に対する情報をかき集めて、次の渡航先の候補にリストアップしてみることをおすすめします。福岡から直行便も飛ぶため、アクセスもイージーです。
ポルトガル料理とマカオ料理と中華料理の競演にも、その複雑なバックグラウンドが垣間見える。
南灣湖にあるアジア最大の噴水は288の噴出口を持つコンピューター制御。レーザー光線と音楽に合わせた華麗なショーが行われる。
辛亥革命を指導する以前の1890年代マカオで医者として一時期を過ごした孫文を偲ばせる記念館。孫文自身の愛用の家具や、貴重な写真の数々が展示されている。
マカオ・ジョッキー・クラブは近代的設備の整った競馬場。観客席には、一般席のほかにプライベートボックスや冷房完備の特別観覧席、メンバー席がある。
マカオ・ゴルフ&カントリー・クラブはアジア・チャンピオンシップも開催される本格派。南シナ海やハクサ・ビーチの眺望を楽しみながらプレイできる。
1997年にオープンした15000人収容のマカオスタジアム。スタジアムは国内外のスポーツイベント、祝祭、コンサートにも利用されている。
マカオ生まれのエッグタルトをはじめ、セラドゥーラ、フルーツシェイクなどを制覇しよう!甘さ控えめだから日本人の口にも、うーん、よく合う。
かつて漁村だったタイパビレッジの中心街周辺には、19世紀からの街並みが色濃い。多国籍なメインストリートもノスタルジックな小道も、散策には格好。
タワーの頂上338mからマカオの絶景を楽しむマストクライム。パッケージには、Tシャツ、プリント写真が含まれています。証明書と会員証は後日送付。
ロウリムイオック庭園はマカオにある数ある庭園の中で、中国様式を最も色濃く表わしている庭園。園内には中国の山水画を思わせる幽玄の世界が広がる。
船乗りの守り神「阿媽」のお祭り。漁業関係者やその家族たちが1年の漁の無事を祈るというもの。その日、媽閣廟ではにぎやかな蛇踊りが披露される。
1917年、ポルトガルのファティマに聖母が出現したという奇跡に由来。司祭や子どもたちがマリア像を掲げて聖ドミニコ教会からペンニャ教会まで行進する。
太鼓のリズムに合わせて、龍をあしらった22人乗りのボートが戦う!毎年海外からのチームも参加し、このレースに併せて様々な仏教行事も行われる。